「食卓の向こう側」 応援団ブログ

西日本新聞「食卓の向こう側」応援団。世の中の「くらし」を明るくします。

【福岡・福岡市】川口 進(かわぐち・すすむ)井原山田縁プロジェクト事務局

得意分野:

f:id:shoku-taku:20160224094926j:plain

 

■プロフィール
1958年、福岡県北九州市生まれ。宇根豊さん(現:農と自然の研究所代表)に憧れて福岡県の農業改良普及員になり、減農薬稲作や合鴨農法等の普及を行う。また、農業応援団を育てるために、宗像地域を中心に農産物直売所と小学校を結んだ「地場産学校給食」のしくみづくりや地元農産物と地場産業を結んだ「宗像育ちのお醤油」や「宗像育ちのお豆腐」等、いろんな地産地消推進のためのしかけを行う。その後県庁に異動し、現在農政部農政課企画係長。
 「農業がみんなの暮らしの一部になるときこそ、農業問題の解決する日だ」という想いから、地元前原市で井原山田縁プロジェクトを4年前に始める。

■問い合わせ先
井原山田緑プロジェクト
http://denenpj.at.webry.info/

 

 

農が大切にされる時代づくり
~井原山田縁(でんえん)プロジェクトの取り組み~

川口進 私は、24年前にこの糸島の地で農業改良普及員として県職員としてのスタートを切りました。その時お世話になったのが井原山の減農薬稲作研究会の皆さん。それから転勤を重ね15年ぶりに井原山を訪ねてみると、皆さんは70歳を越え、「田んぼはあと何年作れるやろう…」という不安の声ばかり。ここも他の中山間地と同じように、高齢化で田んぼの荒廃が目の前に迫っていました。どうすればいいのだろう?・・井原山の方たちと田んぼを守るしくみ作りに知恵を絞りました。
 このような農業問題は農家の努力だけでは解決できない…と私は常々感じていました。なぜなら、農業をやっている人は全人口のわずか3%。97%のいわゆる消費者が農業をどのように考えるかによって、農業が守れるか否かが決まってしまうのです。それならば、97%の消費者を「農業する人」にしてしまえば…というのが、私たちが進めている井原山田縁(でんえん)プロジェクトのねらいなんです。

 このプロジェクトの特徴は
1 会員制です!
写真 (1)年会費は、1家族で6000円です。
 (2)会員は「米づくりサポーター」とお呼びします。
  原則として、年に最低1回は農作業のお手伝いに来ることが会員の条件。もちろん何回来ても大歓迎。農作業は主に、米作りと大豆作りです。
 (3)ここで穫れたお米「田縁(でんえん)米」(もちろん、無農薬・無化学肥料)が、11月に5キロもらえます。それ以外に、年間予約(11月~5月)すれば、毎日食べられます。


2 農作業のお手伝いには地域通貨をお渡しします!
 (1)農作業のお手伝いには、1日につき500ぎっとん(500円に相当)の地域通貨「ぎっとん券」がもらえます。18年度は700枚出ました。
 (2)これは、井原山のお米・野菜の購入費やこのプロジェクトが主催するイベント参加費として使えます。
 (3)18年度から、前原市内にあるハーブレストラン:プティールでも利用できるように提携しました。
 ※「ぎっとん」とは、井原山で働いている「ぎっとん水車」から名付けました

3 井原山の食文化を体験できます!
写真 (1)6月には梅ちぎり、梅干し作りを行います。
 (2)みんなで作った大豆で、「手前味噌づくり」を行います。
 (3)年末にはもちつきを行い、自分たちで搗いた餅でお正月を迎えられます。


 1年目は、40アールの田んぼを請け負って、40家族の米づくりサポーターの方たちと始めた「井原山田縁(でんえん)プロジェクト」。今年で4年目を迎え、サポートしている田んぼが1.5ha、畑が0.3ha。現在会員は120家族に増えました。

 このように、井原山の棚田を守るお手伝いをしながら、私たちの暮らしを井原山でできた米・大豆で支えてもらう…そんな「支え合い」のしくみを目指してます。

 このプロジェクトに参加した多くの家族は、田植、草押し、ヒエ取り、追肥、稲刈、脱穀そしてやっとお米が手に入るという一連の体験をします。そして、「田んぼは命を産み出すところ」という事実を市民が頭だけでなく、体で理解してもらっているようです。

 「みんながお百姓さんになる日」を夢見て、そして高齢化していく田んぼを守るしくみづくりのひとつとして今後もこのプロジェクトを拡げていきたいと思っています。

詳しい様子は、URL http://denenpj.at.webry.info で。